ブフ(モンゴル相撲)について

ブフ(モンゴル相撲)について

① 起源

モンゴル国(外モンゴル)の国民的競技であるモンゴル相撲=ブフは今から2200年前、匈奴がモンゴルで国家を形成した時に遡る。

匈奴の軍隊は非常に強く、男達は能力を競い、格闘したり、弓を射比べたり、槍を投げるなどの軍事訓練を行っていた。

年の初めや初夏の季節に、祖先や転地を祭り、ブフを取らせて楽しむ習慣があったと言われている。

その時代の考古学的発掘物に、ブフを取っている男性が描かれている事から、この時代を境にブフが成り立った事が伺える。

この匈奴のブフが、その後勃興した諸民族に引き継がれ発達していくのだが、10-12世紀頃には現在のものとほぼ近い衣装を身にまとう力士が描かれた陶器が発掘されており、現在のスタイルが確立されたと考えられている。

②    衣装・作法・ルール

【衣装】

ブフではゾドグ(上着)、ショーダグ(下着、プロレスラーのパンツの様)、たがのついたモンゴル靴=ゴダル、そして力士の帽子からなる。

ゾドグは前側があいており(両腕と背中肩甲骨回りのみを覆う)、特徴的な作りとなっているが、これは女性がブフを取らないようにした結果だといわれている。

【作法】

ブフには伝統的・特徴的な作法がある。試合でブフを取る力士は、テントで着替えた後、組み合わせの順に入場する。入場後、太ももの内側、外側、内側と3回叩いて仲介人(セコンド兼行事)の元に走っていき、肩に手を置き仲介人の周りを半周しながら飛ぶように手を大きく上下に動かし舞う。この舞は鷹や隼を表しているという。その後仲介人が帽子をとり、力士の紹介をすると、力士は台座に立った旗のほうへ羽ばたきながら向かい、構えて太ももを二回たたき、ブフを取り始める。

【主なルール】

頭の頂、手のひら、足以外が地面に着くと負けという、極めて単純明快なルール。日本の相撲のように、土俵のような限られたエリアがあるわけではなく、押し出しやつり出しなどで勝負か決する事はない。したがってタックルを含む投げ技が多くなり、非常にダイナミックな展開が繰り広げられる。また、時間に関する制限が無いため、実力が拮抗し勝負がつかない場合、仲介人の指示でお互いのゾドグ、ショーダグ等、着衣を取り合った状態から取り組みをスタートさせる場合もある。

③試合形式・番付

【試合形式】

夏に開催されるナーダムがモンゴル最大の大会(全国大会、日本の国体のような位置づけ)。512人出場の大トーナメントで、見所は、全ての取り組みが同時進行される事。

草原に256組の取り組みが行われる様は、他競技ではありえない圧巻の様子である。優勝まで実に9試合を勝ち抜く必要があり、世界的にも

最も過酷なトーナメントのひとつといえるだろう。

【番付】

この国家ナーダムで勝ち上がる事で番付(称号)が決定する。主な番付は以下のとおり。

また、各市町村でも同様にナーダムが開催され、それぞれの番付が付与されている。

ナチン(隼)

※ベスト16=5回戦進出

ハルツァガ(大鷹)

※ベスト8=6回戦進出

ザーン(象)

※ベスト4=7回戦進出

ガルディ(迦楼羅:ガルディ)

※2位=準優勝

アルスラン(獅子)

※1位=優勝

アヴァラガ(巨人)

※アルスラン称号の力士が再度優勝

ダライ・アヴァラガ(偉大な巨人)

※アヴァラガが再度優勝

ダヤン・アヴァラガ(世界の巨人)

※ダライ・アヴァラガが再度優勝

ダルハン・アヴァラガ(聖なる巨人)

※ダヤン・アヴァラガが再度優勝

③その他のブフ

ブフはエリア、民族によってルールが異なるのも特徴的である。ハルハを除き、日本で最も知られているのが内モンゴル相撲=ウヂュムチン・ブフであり、少しだけ当稿にて紹介する。

ウヂュムチン・ブフは、土俵がないことなどハルハとの共通点も多いが、足の裏以外が地面についた時点で負けとなるルールで、手による足への攻撃が禁止されている(ただし足技は有効)。

更に衣装もハルハのそれとは異なり、更に華やかな様相となる。以下、着衣の種類。

・首飾り=ジャンガー

・革製のベスト=ゾドク

・ブーツ=ゴダル

・足袋=トリクチ

・ひだのたくさんついたズボン=バンジル

・膝あて=トーホー

<iframe width=”560″ height=”315″ src=”https://www.youtube.com/embed/SVi3KJKFBZI” frameborder=”0″ allowfullscreen></iframe>

ハルハとは一味違う技術体系で、また違った攻防を楽しむことが出来る。

④   まとめ(所長)

日本でも年に数回ハルハ・ブフの大会が開催されており、今年の五月、当研究員達と出場し、実際に体験してきた。着衣はあるものの、比較的レスリングにも近く、まさにわれわれが研究するフォークレスリングの一種と考えられるのでは。またモンゴル人力士の身体能力が非常に高く、残念ながら私含め上位入賞はかなわなかった。今後も各種大会に積極的に所員を送り込み、競技理解を深めると共に、モンゴル人の身体能力を研究していきたい。

One Reply to “ブフ(モンゴル相撲)について”

  1. こんにちわ、去年のクリスマスにいきなりモンゴル熱につかれた者ですw

    モンゴル研究中、モンゴル相撲ー内モンゴルからオイラート族系まで行きつきまして、最近中東のオイル相撲までたどり着いてしまいましたw現在は、大相撲で活躍するモンゴル系(モンゴル力士に地方出身者が少ないのでひたすら応援しています)力士応援しています。←影でエジプト力士さんもしています。

    このサイト、NHKの「みんなの2020」で内モンゴル出身のスーホさんの回で見てきましたが、あっていますか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です