カザフクレシュについて

カザフクレシュについて

起源

カザフクレシュはカザフスタンの国民的レスリング競技である。古くからBaulan(レスラー)によるレスリング競技はaitys(詩の大会)とbaiga(競馬)とともに、数千年の歴史を持つカザフスタンの伝統遊戯のうちの一つとされる。(※)

カザフ人はBaulanを英雄とか巨人と呼び、彼らの力は神によって与えられた特別な贈り物とみなされていた。遊牧民であったカザフ人は周辺諸国の文化の影響を受け、かつては数種類のスタイルのレスリングが行われていたという。

20世紀になるまでは無差別級で、ルールも試合前に口頭で取り決められ、決着がつくまで延々行われるようなものだったようだ。

1938年に初めて階級制が、そして1950年ごろに現在のルールの原形が導入されたとのことである。

2016年にUNESCOの無形文化遺産に登録されている。

ルール

2017年9月に開催されたアジアインドアゲームズではベルトレスリングのカテゴリーの1つとして行われているが、民族格闘技としてのカテゴリーが同じであり、通常のルールはベルトレスリングとは大きく違い、道着をつかむこと、足払い・足掛けは可能だが、手で足を掴むことは許されない。グラウンド技は無く、投げ技のみで勝敗を争う。
しかし、延長戦の場合は帯を持ち合うベルトレスリングのルールで行われるため、やはりベルトレスリングとの関連は非常に強い。

【主なルール】
試合時間/5分×1ピリオド
ユニフォーム/裾に赤・青のストライプの入った、半袖・半ズボンの柔道着のようなコットン製の白い道着を着用する。ジャケットにはベルトホールがあり、ここに赤・青の帯を通し腹部の中心で結ぶ。

階級(シニアの部)/男子:60kg・70kg・80kg・90kg・90kg超・無差別(90kg以上の選手が参加できる。引き分けあり)級の6階級
女子:48kg・52kg・57kg・63kg・70kg・78kg・78kg超・無差別(70kg以上の選手が参加できる。引き分けあり)級の8階級

勝敗について/一本(TAZA)もしくは得点差による判定で勝敗が決まる。一本の場合、相手と10点差がついた場合はその時点で試合は終了となる。
一本(TAZA=10点)とは相手を綺麗に投げて両方の肩甲骨からマットに落とす柔道の一本勝ちのような形にあたり、その他、相手をデンジャーポジションやブリッジに追い込んだとき、相手の片方の肩甲骨・肩を同時にマットに落とす投げは7点(ZHARTYLAI ZHENIS)、相手の骨盤・腰・大腿部から落とす投げ、相手がデンジャーポジションでない投げは5点(ZHAMBAS)、相手の手・肘・前腕・肩・膝・胸部・腹部がマットについたときは3点(BUK)が付与される。

BUKの投げが3つでZHAMBAS、ZHAMBASの投げが2つでZHARTYLAI ZHENIS、ZHARTYLAI ZHENISが2つでTAZAとなる。
また、消極的姿勢などによる警告(ESKERTU)を4回告げられた時点で負けとなる。
同点の場合は3分間のゴールデンスコア方式で延長戦(KOYAN-KOLTYK BELDESU)を行う。この場合は互いに相手のベルトを掴んだ四つ組みの状態でスタートされる。このとき、ベルトから手を離す、相手の膝の上に立つ、相手の胸の前に頭を置くこと等は禁止されている。延長戦で勝敗が決まらなかった場合、最も価値の高い投げで得点した選手、コーションが少ない選手、最後に得点した選手、体重が軽い選手、抽選番号が上の選手の順番で勝ちとなる。
反則/一切の打撃による攻撃や噛み付き。試合中の会話。相手の膝を掴む投げ(タックルなど)、ジャケット・ズボンの裾を掴むなど。

③ まとめ(所長)
道着を掴み相手を崩して投げ合う・足取り禁止であることなどから、柔道に近い競技であると言える。私もかつてカザフクレシュの世界大会に出場した経験があるが、慣れない着衣での崩し合いや、変形版かわず掛け等カザフスタン特有の技には大変難儀したことが思い出される。

ルール的には近隣国で行われている民族格闘技・クラシュ(ウズベキスタン)やチタオバ(ジョージア)にも似ており、互いに影響を受け合ってきたのではないかと推測するが、このあたりの関連性は今後の研究で明らかにしていきたい。

同点の場合のみUWWベルトレスリングのような帯を持ち合った体勢から延長戦が行われ、ベルトレスリングとの強く関連していることが分かる。かつてカザフスタンで行われていた数種のレスリングのうちの一つがこのベルトレスリングスタイルではないかと推測される。そういう意味でも我々民族格闘技研究所がカザフクレッシュを深掘りする意義は大きいと感じている。

(※)典拠:カザフクレシュ連盟ウェブサイトhttp://www.beldesu.kz/en/kures/history.1

2 Replies to “カザフクレシュについて”

    1. ムラカワaさま
      コメントをいただき、まことにありがとうございます。
      たいへん申し訳ございませんが、関東近辺でカザフクレシュができるところは存じ上げません。
      大阪にはあるのですが…
      もしかしたら関東でもやっているかもしれませんので、情報を入手しましたら、ご連絡させていただきます。
      よろしくお願いいたします。

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