ベルトレスリングについて

ベルトレスリングについて

①起源

ユーラシア大陸の中央部の広範囲にて、特にテュルク系諸民族の間で古代から神事・祝い事で行われていた民族格闘技(伝統遊戯)を近代スポーツ化(単純競技化)したものである。そのルーツは、古代の文献や壁画から推測されるところによれば、約4800年前にもさかのぼるとも言われる。

民族格闘技研究所では数年前まで、ロシア・タタールスタン共和国の首都カザンを中心とした、ヴォルガ・ウラル地域を発祥の地と考えていたが、研究が進み、同形態のベルトレスリングが世界中に存在し、特にユーラシア大陸中央部に広く存在することが判明した。そのため、ヴォルガ・ウラル地域をベルトレスリングの発祥の地として考えるのではなく、ベルトレスリングが伝統遊戯として広く行われていた地域のひとつと考える方が適切であるだろう。

また、日本の相撲、角力(沖縄相撲)、韓国のシルム、モンゴルのブフ(モンゴル相撲)、中国のシュワイジャオなども同系統のものと言われており、その他、スペインのルチャカナリア、アイスランドのグリーマ等、世界の同形態の民族格闘技との関連も研究を進めている。

ルール

上記に述べたとおり、腰や胴に巻いたお互いのベルトをつかんで倒すことを目的(いわゆる力比べ)としたベルトレスリングに分類される民族格闘技は世界中に多数存在し、伝統遊戯の一つとして神事やお祝い事の時に行われ、各々の民族で古く親しまれてきた。各地域でルールも微妙に違ってはいるが、これらを集約し平等の条件下で競技ができるよう統一したものがUWWベルトレスリングルールである。

クラシックスタイルとフリースタイルの2スタイルがあり、クラシックルールは足を使った攻撃が禁止されているが、対戦相手の両足がマットから離れた状態だと攻撃側は足の使用は認められる。フリースタイルはどのような状態でも足を使用することが認められている。

【主なルール】

試合時間/3分×1ピリオド

ユニフォーム/赤・青の上着と、白のズボンを着用する。

ベルトについて/黄色のベルトを胴の前で拳1つ分の空間を作って結び、相手のベルトを両手で持った状態(互いに右差し・左上手の体勢)で試合が開始される。

階級(シニアの部)/男子:55kg・60kg・65kg・70kg・80kg・90kg・100kg・100kg超級の8階級

女子:50kg・55kg・60kg・65kg・70kg・70kg超級の6階級

勝敗について/フォールもしくは得点差による判定で勝敗が決まる。

フォールとは相手を綺麗に背中から落とす柔道の一本勝ちのような投げにあたり、その他相手の身体がマットと垂直(90度)以上の角度で落ちたときは2点、90度未満の場合は1点が付与される。ただし、膝をついた投げは得点にならない。

また、帯から手を離したり、消極的姿勢などによる警告を3回告げられた時点で負けとなる。

同点の場合は最も価値の高い投げで得点した選手、コーションが少ない選手、最後に得点した選手の順番で勝ちとなる。

フォールの場合、またテクニカルフォール(6点差がついた)の場合はその時点で試合は終了となる。

反則/一切の打撃による攻撃や噛み付き。試合中の会話。相手の足を踏む、など。

  • まとめ(所長)

ベルトレスリングはこれまでベルトの色は赤、フリースタイルとクラシックスタイルのユニフォームで一部違う色のものを採用し、試合時間は5分×1ピリオド制で行われてきたが、日本代表チームも参加した2017年9月にトルクメニスタンの首都・アシガバットで開催された「アジアインドア&マーシャルアーツゲームズ」の直前に新しいルールが制定されたようだ。おそらく昨今のフリースタイルレスリング、グレコローマンレスリングと同様、わかりやすさと積極性を重視したことによるルール変更と思われるが、「相手を投げて倒す」というごく単純明快な競技の本質が変わることはないだろう。また、民族格闘技研究所では、これらの民族格闘技の原点は伝統的な遊戯であると位置付けており、伝統遊戯=「力比べ」にあると考えている。

今回のアジアインドア&マーシャルアーツゲームズで日本代表チームは残念ながら結果を残せなかったが、ベルトレスリングを国民的スポーツとする中央アジア諸国の活躍を目の当たりにし、また、民族格闘技研究所副所長の和崎聖日君の尽力で海外のトップチームから技術指導を受けることもでき、今後の大きな糧となると確信している。今後の主要国際大会でも競技種目に入ることが大いに考えられるため、我々は海外の技術を学んだうえで日本独自の技術体系を構築し、世界で勝てる選手を輩出していきたい。

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